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2021.02.08

言葉は気持ちを乗せる「乗り物」である


こんにちは。
当事業所の代表、原です。


私たちが運営している訪問介護サービスですが、日々、それぞれのご利用者さまの居宅にお伺いして、必要な支援を提供しています。

介護という分野はイメージやその特殊性から、一般的な仕事とは一線を画すように捉えられがちですが、あくまでも飲食業や接客業と同様の、数あるサービス業の中の一つという位置付けです。
(※少なくとも、私はそのように捉えています)

特殊スキルが要求される様な介護の仕事は例外として、訪問介護サービスの場合、技術的なことよりも我々ヘルパーの表情や態度、話す言葉、雰囲気、選択するコミュニケーションの方法など…、つまり「その人自身が立派なひとつの商品であって、サービスそのものである」と言えるのだと思います。


提供する技術の部分も大切な要素ではありますが、むしろサービスの9割以上はコミュニケーションを含めた”人としての在り方”で決まると考えています。

そして私が普段、心理学やコーチングなどの分野を学ぶ大きな理由もこの点にあります。



◆ 言葉は気持ちを乗せる「乗り物」である ◆

日本最大級のコーチング会社である(株)COACH Aの設立者、伊藤守さんの書籍「コミュニケーションはキャッチボール」の中で、「言葉はビークル、気持ちを乗せる乗り物」という一節が登場します。






この一節は、とてもコミュニケーションの本質を捉えている表現だなと思いますし、私もコミュニケーションを説明する際のモデルとして、よく活用させてもらいます。


普段、私たちが会話をして「何かを伝える」場合、何よりも”言葉”に意識と重きを置いていませんか?
「会話なんだから、言葉に重きを置くのは当たり前でしょ」と思われるかもしれません。


でも実際は…、
人が相手の言葉から何を受け取る(感じる)かは、その言葉と一緒に受け取っている、話し手の※1) ノンバーバル(非言語)情報によって決まっていると聞くと…、皆さんはどのように感じられるでしょうか?
※1) ノンバーバル(非言語)情報 … 言葉ではない部分(身振りや口調、声のトーン、姿勢など)の情報のこと

非言語という言葉や言い回しなど、少し意味が伝わりにくいかもしれませんね。


普段、私たちは誰かと会話をしていると、嬉しくなったり、楽しくなったり、腹が立ったり、怖くなったり…と、気持ちや感情が様々に変化をします。


ここは非常に重要なポイントですが、
人は会話を交わす際、相手の言葉自体に感情が反応しているわけではありません。
言葉…ではなく、その多くは、その言葉に乗って一緒に送られてくる相手の感情や声の大きさ、声のトーン、またその時の表情や姿勢などに反応をしています。


例えば…、
あなたがある相手に何かプレゼントを贈ったとして、その相手が下記のような態度を取った場合、

A「ありがとう!!(※とても笑顔で、嬉しそうにはしゃいでいる様子)」
B「ありがとう…。(※消え入る様な声で、表情も引きつって、少し迷惑そうな態度)」


使う言葉は、AもBも同じ「ありがとう」です。
Aのパターンは笑顔で嬉しそうに喜んでいるので、「ありがとう」という感謝の言葉のとおり、たくさんの喜びを相手は感じてくれているんだなと、あなたには伝わるでしょう。

しかし、Bのパターンは声のトーンや迷惑そうな表情、態度からも、例えば「喜んでないし、むしろ迷惑っぽい(怒)」の様に、あなたは受け取るのではないでしょうか?

つまり、会話を通してコミュニケーションを取る際に、人は相手の言葉そのものではなくて、非言語の部分に大きく反応をしているということがご理解いただけると思います。


冒頭の「言葉はビークル、気持ちを乗せる乗り物」という表現どおり、言葉はあくまでもその人の感情や思い、雰囲気、態度などを乗せて相手に届ける乗り物(入れ物)の様なものだということです。


この解釈を説明している代表的ものとして、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した、メラビアンの法則(7:38:55の法則)がとても有名です。


【メラビアンの法則(アルバート・メラビアン)】
人は言葉、聴覚、視覚から、それぞれ矛盾した情報が与えられたとき、
次の割合で影響を受けて感情を判断する。
言語情報:7%
聴覚情報:38%
視覚情報:55%
つまり、言葉の意味と矛盾した態度でメッセージを送ると、人は言葉そのものよりも、視覚情報や聴覚情報に頼って、相手の感情を推し量るということ。


このメラビアンの法則によると、言葉の意味と矛盾した態度でメッセージを送ると(つまり、先ほどのBパターンの様な言葉と態度が矛盾している場合)、言葉(言語情報)の7%よりも、聴覚や視覚情報の部分にあたる、38%+55%=約93%の非言語情報に、人は反応するということですね。

つまり、言葉よりも相手の表情や姿勢、声のニュアンスなどの情報を、コミュニケーションの結果として受け取ってしまうわけです。



◆ 伝わったメッセージが伝えたメッセージ ◆

以前のブログ「コミュニケーションの前提」でもご紹介しましたが、「自分が何を伝えたか」という、自分に意識を向けることよりも、「相手がどう理解したのか」を前提にして、相手に意識を向けて物事を捉えることができるようになると、コミュニケーションの質が一気に変わっていきます。

心理学のNLPでは「相手の反応が自分のコミュニケーションの成果である」という前提を基にして、相手とのコミュニケーションを構築していきますが、同様にコーチングの世界でも「伝わったメッセージが伝えたメッセージ」という前提の基に、相手との信頼関係を構築していきます。

言葉はもちろん大切ですが、言葉(verbal:バーバル)以上に非言語(non-verbal:ノンバーバル)の部分が強く相手に語り掛けるということ知って、「無意識の表情や態度、立ち居振る舞いが大きく相手に影響を及ぼしている」ということを理解しなければ、良質な人間関係を築くことは難しいでしょう。


私たち訪問介護サービスを担う介護士は、私たち自身が商品であり、サービスです。

掃除の仕方は大切ですし、調理の手際も良いに越したことはありません。
身体に直接触れる可能性もありますので、専門的スキルも大切です。

しかし、それ以上に私たちの言葉、表情、姿勢、態度、立ち居振る舞いは、人と人との繋がりにおいて最も重要であると、強く認識する必要があります。

これからも様々な学びを通じて、コミュニケーションの大切さをお伝えしていけたらと思っています。
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