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2021.05.10

質問のパワー⑤(質問による思考の方向と深さ)



こんにちは。
当事業所の代表、原です。
いつもありがとうございます。


先日、私の住む大阪府でも、現在発出されている非常事態宣言の延長が決定しました。
政府の対応やそれに伴うニュース報道、オリンピック開催の是非なども含めて、色々と私自身も思うところはありますが…、世界レベルで起こっている大きな荒波には成す術がありません。

コロナウイルスのワクチン接種も既にスタートしていますが、「予約自体が全く取れない」という声も頻繁に耳にしています。
感染拡大の防止はもちろんですが、ワクチン問題に関しても、まだまだ尾を引きそうですね。

この荒波が収束するのは、一体いつになるのでしょうか?



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さて、本日も引き続いて”質問”をテーマにお伝えしていきます。

今回、質問のパワー第5段目としてお伝えするのは、「質問による思考の方向や深さ」という内容です。

これまでも質問をテーマにお伝えしてきましたが、いよいよ大詰めです。
それもあって、結構な長文になってしまいました… (^_^;

少し、脳の機能にも触れた内容になっていますので、勉強のように感じる方がおられるかもしれませんが…、楽しみながら読み進めてもらえると嬉しいです。

ご覧になられている方に、新たな発見や気付きがあることを願っています。



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以前のブログ(※「質問のパワー④(質問と命令の違い)」)でも軽く紹介しましたが、質問には相手の心理的ブロックを受けることなく、自然と頭の中に入っていくという特性があります。


そもそも私たち人間は、指示や命令などで強制的に他人から動かされる事を嫌う反面、質問されることには抵抗なく受け入れる傾向があります。
そこには、私たちの脳における、本能的な部分が関係しています。

その理由を詳しく解説すると、それこそ1冊の本が出来上がってしまいますので…(笑)
ここではできるだけ簡単に、ポイントを絞ってお伝えできればと思います。



◆ 質問は脳に「空白」を作り出す ◆

人間の脳は、本能的に「生きること」を最優先に求めています。
生きること、すなわち「死なないこと」ですね。

私たちは既に知っていることや、慣れていることには警戒心も少なく、安心や安全を感じます。
これは、私たちの脳が「知っていること=予測が出来ること → 身の危険が及ぶリスクが少ない」と認識しているからです。

反対に、知らないこと(分からないこと)は「危険である」と認識します。
それは、「知らないこと=何が起こるかわからない → 身の危険が及ぶ可能性が高い」と感じるからです。

知らないことや分からない状態のことを、NLP等の心理学では「脳の中に”空白”が作られる」などと表現します。
(※知らないこと=脳に空白ができている状態です)


人は誰かに質問をされたり、自らに質問を投げ掛けることで、頭の中に「空白」が作られます。
(※疑問が浮かんでいる状態ですね)


脳は分からないという事を本能的に嫌うため、知らないことや疑問などがあれば、自然と知りたい(知っておきたい=安心したい)という欲求が働きます。
そして、意識だけでなく無意識の力も使って、脳は「空白」の答えを探し出そうとします。


この状態のことを「空白を埋める」などと表現されます。

「質問される」→「脳に空白ができる(頭に疑問が浮かんでいる状態)」→「その空白を埋める(答えを探している状態)」



例えば…、
・「あの芸能人の名前、何だったかな…?」
・「さっきまで覚えていたのに…、何だったっけ?」
・「もうっ!頭のここまで浮かんでいるのに…!」

答えが喉元まで出掛かっているのに思い出せない。
この様なもどかしさを感じることは、日常的によくある光景かと思います。

もうちょっとで思い出しそうなのに、思い出せないあの感じ…。
本当にモヤモヤしますよね(笑)

実はこれも立派な「空白」です。
この「空白」を埋めよう(答えを見つけよう)と、脳が必死に動いている状態です。

そして、忘れていた頃に「あっ、思い出した‼︎」と、急にパッ!と答えが頭に浮かんだりします。

これは、私たちの意識よりも更に深い部分である無意識が、常に空白を埋めようと答えを検索し続けているためで、このようなことが日々、頭の中では起こっています。

この様に、私たちの脳は「知らない、分からない」などの「空白」状態を嫌うため、意識だけでなく無意識も総動員して必死に答えを探し出し、空白を埋めようとします。

これが、質問に対して私たちの脳が本能的に答えを渇望する、1つの大きな理由です。





◆ 意識の焦点化(焦点化の原則) ◆

もう1点、質問を語るうえで大切なことがあります。

それは「意識の焦点化」です。
※なかなか難しそうな表現ですよね…(^-^;)


私たち人間は、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を通じて世界や物事を認識して、情報のやり取りを行っている生き物です。

私たちの脳は、1秒間に約1,100万bit(ビット)もの情報量を感じ取っていると言われています。
(※~万ビットと言われてもピンと来ないと思いますが、とてつもなく圧倒的な情報量だと理解してもらえればOKです)

脳は今この瞬間においても、目で見えている視覚情報、耳で聞こえている聴覚情報、匂いなどの嗅覚や味覚情報、身体で感じる温度や、衣類などが肌に触れる体感覚情報など、あらゆる情報を、常に五感を通じて感じ取っています。


例えば…、
今、この文章を読まれている瞬間、周囲の音に意識を傾けてみてください。
何が聞こえているでしょうか?

音楽が鳴っているかもしれませんし、もしくは誰かの話声が聞こえているのかもしれません。
静かな環境であれば、耳をすますと…、
空調の音や時計の進む音が聞こえてくるのかもしれません。

そして、周囲の音に意識を強く向ければ向けるほど、途端にこの文章のことが意識から離れていきませんか?

もし、座っている状態でこの文章を読まれているのであれば、椅子やソファーにお尻が触れている感触に意識を集中してみてください。
すると、今度は先ほど聞こえていた周囲の音が聞こえなくなる(認識できなくなる)のではないでしょうか?

周囲の音が消えた…⁉
いえ、そんな訳はありませんよね。


私たちは、文章を読むことに集中すると、周囲の音が頭に入らなくなったり、椅子に座っている感触も意識できなくなります。
周囲の音に意識を傾けると、今度は見えていた内容やその他の情報が意識に入らなくなります。


この様に、私たちの脳は焦点化、つまり基本的には”1つの事にしか意識が向かない(集中出来ない)”ようにできていますので、焦点が当たっているものにしか気付けない(感知できない)という特性があります。

言い換えるなら、「人は見たいもの(見ようとして焦点を当てているもの)しか見えていない」し、「聞きたいこと(聞こうとして焦点を当てているもの)しか聞こえていない」とも言えます。

この、「相手の焦点がどこに向いているのか?」ということは、質問を語るうえで非常に重要なポイントとなります。





◆ 質問は思考の方向や深さを変えることができる ◆

随分と前置きが長くなりましたが…、
質問の素晴らしい点は、相手の思考の方向や深さを変えることができるという、素晴らしいツールとなることです。

思考の方向や深さを変える…?
一体どういう意味なのでしょうか?


例えば…、
相手と以下の様な質問のやり取りをしたとします。

質問①「あなたの好きな果物は何ですか?」
   →「そうですね…、林檎(りんご)🍎が好きです」

質問②「どうして林檎が好きなんですか?」
   →「爽やかな酸味と甘みが絶妙のバランスで、子供の頃から大好きなんです」

質問③「では、他に好きな果物はありますか?」
   →「そうですね、他に好きな果物と言えば…」

一見、何ともない質問のやり取りですが、ここから2つの重要なポイントが見えてきます。


まずは1つ目のポイント。
それは、質問によって相手の思考を、意図する方向へと向かわせることが出来るという点です。

まず、質問①を投げ掛けることによって、相手の頭の中には「好きな果物は何だろう?」という「問い(空白)」が生まれます。
それまで考えていた思考は中断されて、その質問について考えようとする流れ(思考の方向)が自然に生まれます。

つまり、質問を相手に投げ掛けることによって、相手の頭の中に「質問されたテーマについて考える」という流れを作り出し、相手の焦点を意図する方向へと向けさせることが出来るわけです。


相手の意識(焦点)を意図する方向に向けさせる、つまり「此方が考えて欲しいことを、自然と相手に考えてもらうことができる」というだけでも、かなり凄いと思いませんか?(^^♪

しかも、指示や命令とは違って、質問は相手の心理的ブロック(抵抗)を受けにくいといった特徴も、以前お伝えしたとおりです。


よく、”他人はコントロールすることができない” と言われますが、質問という身近なツールを使うことで、自然に相手の意識の方向を変化させられるという点は、質問の持つ大きなパワーです。

ここまでの理解は大丈夫でしょうか?(^_^;)



そしてポイントの2つ目。
それは、「質問によって、相手の思考の深さを変えることができる」という点です。
(※ 思考の深さ…何だそりゃ? ですよね… ^_^;)

最初の質問①により、相手は「何の果物が好きか?」というテーマに焦点が当たり、その答えを探し始めます。

果物の種類はそこそこ豊富にありますので、相手は「どんな種類の果物があったかな?そして、自分が好きな果物は…?」と、果物全体に意識を走らせながら、答えを探します。

この時、相手の焦点は、果物という対象を「広く捉えている状態」であり、いくつか思い当たった候補をピックアップしていきます。
そして、出てきた答えは、数ある果物の中の1つである、”林檎🍎”でしたね。


次に②の質問では、
「どうして林檎が好きなんですか?」という、今度は対象を果物全体から林檎🍎というカテゴリーに絞って、「なぜそれが好きなのか?」という ”理由” に焦点を当てた質問をしています。

好きになった理由というのは、その人の価値観や過去の経験、思い出などに紐づいているものですので、思考としては、1段深いレベルに焦点が向くことになる(思考が深くなる)と言えます。

この「”なぜ”好きなのか?」という質問によって、相手の焦点が「どれが好きか?」から「好きになった理由」へと、深いレベルに移動していきます(焦点がより深い部分に向かいます)。

そして質問③の「他に好きな果物はありますか?」という質問によって、再び質問①のときと同様に、果物の種類を「広く捉える」という焦点へと、意識が戻っていきます。


この様に、質問によって相手の焦点を動かすことで、相手の意識や思考の方向・深さを変化させることができるのです。


質問を上手に扱うことができれば、”現状に煮詰まっている人”に対して捉えている焦点を変えさせたり、異なる方向性(可能性)へと導くことも出来るようになります。

また、相手が考えもしなかったような新しい視点に気付かせたり、物事の捉え方を変換させることも可能となります。




◆ まとめ ◆

如何でしたでしょうか?
今回は少し内容が難しいなと感じられたかもしれませんね (^-^;


普段、私たちが使う質問によって、相手の思考の方向や深さが決まっていきます。

相手の意識の焦点を、どの部分に向けさせるのか?
それによって相手の思考や物事の捉え方が変わります。


質問を有効に活用すれば、指示や命令などの強制的に相手の反発を招く方法を使わなくとも、此方の意図に合わせて、自在に相手の思考の方向を転換させることが可能となります。

また、どの様な内容の質問を相手に投げ掛けるかによって、普段、相手が考え付かないような視点に意識を向けさせたり、相手の気付きや発見を促すことも可能となります。

一方で、質問によっては相手の焦点をネガティブな方向へと向けさせてしまうことも、十分あり得ます。

相手を萎縮させてしまったり、相手の可能性を閉ざす様な質問(詰問)を投げ掛けている人を、周囲でよく目にします。

「何回言えば分かるの⁈😡」
「何でそんな事したの⁈💢」

※これは質問の形式をとっているだけの、ただの叱責ですね…。(^_^;)


質問はとても身近でありながら、とてもパワフルで奥の深いツールです。
是非、今回ご紹介した質問の特性を活用して、お互いにとって実りのある、有益な関係構築を目指してください。


なかなかの長文をご覧いただきまして、本日もありがとうございました。

それではまた!

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